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2次試験対策

2次試験の与件文を読み解く5つのコツ|中小企業診断士の合格答案を作る読解術

中小企業診断士2次試験の与件文を効率よく読み解く5つのコツを、現役診断士監修で解説。設問解釈から段落マーキング、SWOT抽出、時系列把握、設問対応付けまで、80分で合格答案を作る実践的な読解術を体系化します。

中小企業診断士2次試験の与件文を読み解くコツは、「設問先読み」「段落マーキング」「SWOT抽出」「時系列把握」「設問対応付け」の5つに集約されます。本記事では、80分の試験時間内で安定して合格答案を作るための読解術を、現役診断士の視点から体系的に解説します。

2次試験で多くの受験生がつまずくのは、与件文を「漫然と読む」ことです。設問が要求する論点と与件の事実を結びつけられず、知識を並べただけの一般論答案になってしまうケースが目立ちます。読み方の型を持つだけで、答案の再現性は大きく変わります。

与件文とは何か(基本構造の理解)

与件文(よけんぶん)とは、2次試験の各事例で提示される 架空の中小企業の概要文 のことです。事例Ⅰ〜Ⅳそれぞれで、A4用紙3〜4ページ分(2,500〜3,500字程度)の本文と、貸借対照表・損益計算書・組織図などの図表が添付されます。

与件文に書かれている情報

与件文には、その企業の「ビジネスを理解するために必要な事実」が時系列・論点別に整理されています。具体的には次のような要素です。

  • 創業の経緯・経営者のプロフィール・経営理念
  • 事業内容・主力商品やサービス・取引先構成
  • 組織体制・従業員構成・人事制度
  • 売上推移・財務状況・経営課題
  • 業界動向・競合状況・地域特性

これらの情報は、 設問に答えるための根拠(=与件根拠) として機能します。与件にない情報を勝手に推測して書いた答案は、得点が伸びにくいのが2次試験の特徴です。

与件文と設問の関係

設問は、与件文の特定の段落や事実を踏まえて答えることを暗黙に要求しています。たとえば「A社の組織再編の方向性を助言せよ」という設問なら、与件文中の組織形態・人事評価・事業領域の記述を組み合わせて解答を組み立てる、という具合です。

つまり与件文は 解答の素材庫 であり、読解の精度がそのまま得点に直結します。「設問が何を聞いているか」と「与件のどこを使うか」をセットで考える姿勢が、合格答案の出発点になります。

与件文を読み解く5つのコツ

ここからは、80分の試験時間で合格答案を作るための読解の型を、5つのコツに分けて整理します。順番に取り組むだけで、与件文の処理速度と精度が向上します。

コツ1:設問を先に読む(設問解釈ファースト)

与件文を読み始める前に、 設問4〜5問を先に読む のが鉄則です。設問を理解しないまま与件を読むと、何を拾えばよいか分からず時間を浪費しがちです。

設問先読みでは、各設問について次の3点を確認します。

  • 問われていること(戦略・組織・施策・課題・効果など)
  • 制約条件(「〜の観点から」「〜を踏まえて」「100字以内で」など)
  • 解答に必要な切り口(強み×機会、課題→原因→対応策、ダナドコなど)

設問の制約条件は得点を大きく左右します。「中小企業診断士として」「経営者の想いを踏まえて」など一見飾りに見える文言も、解答方向を縛る重要なヒントです。

コツ2:段落ごとにマーキングする(情報の可視化)

与件文を読みながら、段落ごとに重要情報をマーキングします。色ペンや記号を使い分けると、解答骨子を作る段階で参照しやすくなります。

実践的なマーキングルールの例は次のとおりです。

記号・色 対象
○(赤) 強み・機会 高品質な技術、地域密着、リピート顧客
△(青) 弱み・脅威 後継者不在、原材料高騰、需要減少
□(緑) 課題・問題点 納期遅延、在庫過多、若手離職
▽(黒) 経営者の想い 「地域に根差した」「技術を後世へ」
数字下線 定量情報 売上、従業員数、シェア率

文字でただ読むより、視覚的にラベルを付けたほうが情報の位置を素早く思い出せます。マーキングは 2巡目読みの効率化のための投資 と捉えるとよいでしょう。

コツ3:SWOTを抽出する(経営状況の俯瞰)

与件文を読み終わったら、その企業の 強み(S)・弱み(W)・機会(O)・脅威(T) を簡潔に書き出します。問題用紙の余白に箇条書きで2〜3個ずつまとめれば十分です。

SWOTを書き出す目的は、解答の方向性を整える土台を作ることです。事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲでは、設問の多くが「強みを活かして機会を取り込む」「弱みを補強する」という構図で解答が組み立てられます。

SWOT抽出のときは、 与件文の文言をそのまま使う のがポイントです。「高い技術力」と書いてあれば「高い技術力」と書き写し、自分の言葉に置き換えないようにします。答案でも与件のキーワードを再利用することで、採点上の与件根拠を確保できます。

コツ4:時系列の変化を捉える(過去・現在・未来)

中小企業診断士2次試験の与件文は、ほぼ必ず 時系列の変化 が描かれます。創業期の事業から、成長期・転換期・現在に至るまで、企業がどのように変わってきたかを把握することで、戦略の方向性を読み取りやすくなります。

時系列を捉えるときは、次の3区分で整理します。

  • 過去:創業の経緯、初期の事業、過去の成功体験
  • 現在:現在の事業構成、直面している課題、経営者の問題意識
  • 未来:経営者が目指す方向、業界トレンド、将来の機会

特に 「過去の強み」が「現在の弱み」になっているケース は要注意です。たとえば「創業以来の伝統的な営業スタイル」が、現在は若年顧客を取り込めない弱みに転じている、というパターンです。こうした転換点が設問の核心になることが多くあります。

コツ5:設問と段落を対応付ける(解答素材の割り当て)

最後のコツは、 どの段落をどの設問の根拠に使うか を明示的に対応付けることです。設問番号を段落の余白に書き込み、「この段落は設問2の根拠」と紐づけます。

対応付けの考え方は次のとおりです。

  • 1つの段落が複数の設問に対応することは稀(大半は1対1〜1対2)
  • 同じキーワードを複数の設問で使うと差別化できないため、段落の使い分けが重要
  • どの設問にも紐づかない段落は、最終問題(助言・総合問題)の素材になることが多い

この対応付けを終えた段階で、答案の80%は完成したと言って差し支えありません。あとは制約字数に収めるための表現調整が中心となります。

事例別に与件文の読み方をどう変えるか

5つのコツは共通の土台ですが、事例ごとに着目すべき情報の重みが異なります。事例の特性に合わせて読みの焦点を調整すると、効率が一段上がります。

事例Ⅰ(組織・人事)の読み方

事例Ⅰは創業からの経緯・経営者の想い・組織形態が中心テーマです。与件文では「なぜ今の組織になったのか」「人事制度はどう機能しているか」を時系列で読み解くことが重要です。

特に 権限委譲・評価制度・教育制度・組織文化 の4要素は頻出論点で、与件文の対応箇所を素早く見つけられるようにしておくとよいでしょう。

事例Ⅱ(マーケティング・流通)の読み方

事例Ⅱは地域・顧客・自社の強みを軸に読みます。与件文に登場する顧客層(年齢・性別・所得帯)や地域特性(人口動態・商圏・観光資源)は、ほぼ確実に解答素材として使われます。

頻出する解答パターン 「ダナドコ(誰に・何を・どのように・効果)」 を意識し、与件文の中から「ダナ」「ナニ」「ドノ」「コウカ」に対応する記述を抽出していきます。

事例Ⅲ(生産・技術)の読み方

事例Ⅲは中小製造業の現場課題が題材です。与件文では 生産プロセスの流れ・納期遅延の原因・在庫管理・標準化の遅れ などが繰り返し登場します。

「課題→原因→対応策」の3段構成で答案を作るため、与件文を読む際にも、問題点の 原因 がどこに書かれているかを意識して拾います。原因は与件の途中段落にさりげなく埋め込まれていることが多いため、見落としに注意が必要です。

事例Ⅳ(財務・会計)の読み方

事例Ⅳは与件文より 財務諸表(B/S・P/L)と設問条件 の読み込みが優先されます。与件文は経営分析の所見や記述問題で使う材料になるため、 収益性・効率性・安全性 の3観点で長所・短所を抽出する読み方が定石です。

計算問題では設問の条件設定(税率・割引率・減価償却方法など)を読み落とすと致命傷になります。設問文を声に出して読むくらいの慎重さで臨むのが安全です。

与件文読解のよくある失敗

現役診断士の視点から、受験生が陥りがちな読解の失敗を整理します。先回りして避けるだけで、答案の質が安定します。

設問を読まずに与件文に入る

最も多い失敗が、与件文から先に読み始めてしまうパターンです。設問を知らないまま読むと、情報の取捨選択ができず、結局2回・3回と読み返すことになります。

時間がない試験ほど 設問解釈に最初の5〜10分を投資する ことが、結果的に最短ルートになります。

与件文にない情報を答案に書く

「中小企業診断士なら一般的にこう助言する」と、与件文に書かれていない情報を持ち出してしまう答案は得点しにくい傾向があります。2次試験はあくまで 与件文に描かれた架空企業に対するコンサルティング であり、現実の常識を当てはめる試験ではありません。

迷ったら「与件にこの記述はあるか?」を自問する癖をつけましょう。

マーキングを丁寧にやりすぎる

マーキングは答案作成の効率化が目的ですが、装飾に時間をかけすぎると本末転倒です。色ペンの使い分けは2〜3色まで、記号は3〜4種類までに絞り、 15分以内に1事例の与件マーキングを終える ペースを目安にしましょう。

強みと弱みの混同

事例企業の「強み」と「弱み」を逆に捉えると、解答の方向性がずれて大きく失点します。強み・弱みは経営者が語る言葉ではなく、 業界・競合との相対比較 で判断するのがセオリーです。

たとえば「全国展開していない」は中小企業にとって自然な状態であり、必ずしも弱みとは限りません。地域密着の強みに転換できる場合もあるため、文脈で判断する姿勢が必要です。

時系列の変化を見落とす

与件文の冒頭で書かれた「創業期の特徴」が、現在では通用しなくなっているケースは頻出です。過去と現在を区別せず読むと、解答が時代錯誤になる恐れがあります。「いつの話か」を意識しながら読み進めましょう。

80分の中での読解時間配分

5つのコツを80分にどう割り当てるか、現実的な時間配分の例を示します。事例Ⅰ〜Ⅲ向けの標準モデルです。

フェーズ 目安時間 主な作業
設問解釈 5〜10分 4〜5問の設問を読み込み、制約条件と切り口を整理
与件文の通読+マーキング 10〜15分 段落ごとに強み・弱み・課題などを記号で可視化
SWOT抽出+時系列整理 5分 余白に経営状況を箇条書きで俯瞰
設問と段落の対応付け 5〜10分 設問番号を与件段落に書き込み、解答素材を割り当て
答案記述 35〜45分 設問ごとに80字×4〜5問を清書、誤字脱字をチェック

時間配分は受験生の特性により多少前後しますが、 「読解と設計に40分、記述に40分」 のバランスが標準的です。読み込みを急ぎすぎて素材選びを誤るより、読解を丁寧に行うほうが結果的に安定します。

事例Ⅳは計算問題の比重が大きいため、与件文の読解時間は10〜15分程度に圧縮し、計算演習に時間を回す配分が一般的です。

練習方法:与件文読解の精度を上げるトレーニング

読解精度は短期間では伸びにくいスキルです。日々の学習で意識して鍛えるべきポイントを整理します。

過去問を「読む練習」として使う

過去問は答案を書くだけでなく、 「読む練習」としても活用 できます。新しい年度の与件文を15分以内で読み、SWOT・時系列・設問対応をどこまで素早く整理できるかを訓練しましょう。

実際に答案を書かない「読解だけ」の練習なら、平日の隙間時間でも回せます。

振り返りノートで読み落としを記録する

過去問を解いて答案合わせをしたあと、 「与件のどこを見落としたか」 を振り返りノートに記録します。同じパターンの読み落としが繰り返されるなら、自分の癖として可視化できます。

「経営者の想いを軽視しがち」「定量情報を答案に使わない」など、自分固有の弱点が見えてくると改善の方向性が定まります。

複数の合格答案を比較する

「ふぞろいな合格答案」のような書籍では、複数の合格者の答案を読み比べられます。与件のどの記述をどう答案に反映したかを観察すると、 熟練者の与件処理パターン が学べます。

自分の答案と合格答案を見比べ、「この段落はこう使えば良かったのか」と言語化していくと、読解力が答案作成力に直結していきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 与件文を何回読めばよいですか?

通常は 2回読み が標準的です。1回目は全体把握とマーキング、2回目は設問対応付けの確認に使います。3回以上読み込むと時間が不足するため、1回1回の精度を上げるほうが効率的です。

Q2. マーキングは色ペンを何色使うべきですか?

実用的には 2〜3色 が目安です。赤(強み・機会)、青(弱み・脅威)、黒(その他のキーワード)の3色構成や、赤・青の2色構成が定番です。色を増やしすぎると本番で迷い、判断時間がかさみます。

Q3. 与件文に書かれていない情報を答案に書いてもよいですか?

原則として、 与件文に根拠のない情報は書かない のが安全です。ただし1次試験で学んだ知識(フレームワーク・定義・効果メカニズム)を補助的に使うのは問題ありません。「与件×知識」の組み合わせが合格答案の基本構造です。

Q4. 時間が足りずに与件文を読み切れません。どう改善すべきですか?

まず設問解釈を5分以内に終え、与件文の通読を15分以内に収める訓練が必要です。市販の演習書で 読解スピードを計測 し、時間内に処理できる量を増やしていくのが王道です。読み返しが多い場合は、マーキングルールの見直しも有効です。

Q5. 与件文の冒頭と末尾、どちらを重視すべきですか?

冒頭は企業の全体像(業種・規模・経営者)、末尾は経営者の今後の意向(戦略の方向性)が描かれる傾向にあります。 冒頭と末尾は最後の総合問題(助言・将来戦略)の根拠になりやすい ため、特に丁寧に読むのが定石です。

Q6. 図表(組織図・財務諸表)はどう読み取れば良いですか?

図表は 本文と必ずセットで読む のが鉄則です。組織図は本文の組織記述と照合し、財務諸表は本文の経営課題と数値を結びつけて読みます。図表だけを切り離して見ても、設問対応の根拠としては弱くなりがちです。

まとめ

中小企業診断士2次試験の与件文を読み解く5つのコツを振り返ります。

  • 設問先読み で読解の方向を定め、限られた時間で素材を取捨選択する
  • 段落マーキング で情報を可視化し、答案作成時の参照効率を上げる
  • SWOT抽出 で経営状況を俯瞰し、解答の方向性を整える
  • 時系列把握 で過去・現在・未来の変化を捉え、戦略の核心を読み取る
  • 設問と段落の対応付け で解答素材を割り当て、答案の与件根拠を確保する

与件文読解は短期間で伸ばしにくい力ですが、 型を持って継続的に練習 すれば確実に精度が上がります。過去問を「答案を書く対象」だけでなく「読む練習の素材」として活用することが、合格への近道になります。

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出典・参考

  • 一般社団法人 中小企業診断協会/日本中小企業診断士協会連合会 公式統計(令和5・6年度二次試験結果データ)
  • 令和8年度試験実施スケジュール(中小企業診断士協会連合会発表)
2026年5月6日15分で読めます
監修:中小企業診断士 久保谷太志執筆:診断士エアポート 編集部
2次試験 与件文中小企業診断士 二次試験与件文 読み方事例Ⅰ事例Ⅱ

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