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1次試験対策

中小企業診断士1次試験の合格基準と戦略的得点設計|420点をどう積むか

中小企業診断士1次試験の合格基準点・足切りルール・科目別得点設計を、現役診断士監修で解説。420点をどの科目で何点取って積み上げるか、戦略的な学習配分の考え方まで整理します。

中小企業診断士1次試験の合格基準は、7科目合計の総点数が60%以上(700点満点中420点以上)かつ各科目40%未満(40点未満)の科目がないことです。つまり「総得点で420点を取りつつ、足切りを回避する」二重条件の試験であり、得意科目で稼ぎ・苦手科目で40点を割らない設計が合否を分けます。

この記事では、中小企業診断士1次試験の合格基準点・足切りルール・科目別得点設計の考え方・420点を積み上げる戦略パターン・科目合格制度の活用法までを、現役診断士の監修で整理しました。

1次試験の合格基準と足切りルール

1次試験の合否判定は、シンプルに見えて2つの条件を同時に満たす必要があります。基準を正確に理解しないと、得点設計そのものが歪みます。

合格基準点は「60%以上」と「40%未満なし」の2条件

中小企業診断協会(J-SMECA)が公表する1次試験の合格基準は、概ね以下の通りです。

  • 総点数が満点の60%以上(700点満点中420点以上)
  • 1科目でも満点の40%未満(100点満点で40点未満)がないこと

両方を満たして初めて1次試験合格となります。総得点420点を超えていても、1科目でも40点を割っていれば不合格です。この「足切り」が1次試験の難しさを底上げしています。

7科目の配点と試験時間

1次試験は2日間で実施され、7科目はそれぞれ100点満点(経済学・経済政策と経営情報システムなどの一部科目は試験時間60分、他は90分が中心)です。配点は全科目同じ100点で、総合計700点となります。

科目 配点 試験時間(目安)
経済学・経済政策 100点 60分
財務・会計 100点 60分
企業経営理論 100点 90分
運営管理 100点 90分
経営法務 100点 60分
経営情報システム 100点 60分
中小企業経営・政策 100点 90分
合計 700点

試験時間や具体的な時間割は年度により細部が変わるため、申込時に必ず最新の試験要項を確認してください。

「得点調整」と平均点の関係

科目によっては、難化した年度に「得点調整」が入ることがあります。これは特定科目の平均点が極端に低い場合に行われる、いわば救済措置です。ただし得点調整は毎年あるわけではなく、戦略に織り込むものではありません。「調整されればラッキー」程度に捉え、420点は自力で取る前提で設計するのが堅実です。

なぜ「戦略的得点設計」が必要なのか

1次試験は7科目という広範囲を扱うため、全科目を均等に80点取る学習は時間的に不可能に近いのが現実です。

全科目高得点は時間的に不可能に近い

総勉強時間の目安は概ね800〜1,000時間とされます。これを7科目で単純に割ると1科目あたり120〜140時間ですが、簿記未経験者の財務・会計や、IT初心者の経営情報システムなど、人によって所要時間に大きな差が出ます。

全科目で80点を目指すと、現実的には時間が足りません。合格者の多くは「得点源科目で稼ぎ、苦手科目で40点割れを回避する」二段構えで420点を積み上げています。

得点源と防衛科目を分ける考え方

戦略設計の基本は、7科目を以下3グループに分けることです。

  • 得点源科目(75〜85点を狙う):得意分野、過去の業務知識がある科目
  • 平均科目(55〜65点を目指す):標準的に学習する科目
  • 防衛科目(40〜50点を死守):苦手分野、足切り回避を優先する科目

得点源を2〜3科目作れば、合計420点はかなり積み上がりやすくなります。逆に「全科目60点」を狙う方が結果的に難しいというのが、多くの受験生の実感です。

1次試験は「合格点を取る試験」で「満点を取る試験」ではない

1次試験は4択または5択のマークシート式で、満点を狙う試験ではありません。60%(420点)を超えれば合格は同じですから、稀少論点や捻り問題に時間を投下するより、頻出論点を確実に取る方が合理的です。この発想が、戦略的得点設計の出発点になります。

科目別の難易度と得点戦略

科目ごとに難易度・暗記比率・計算比率は大きく異なります。それぞれの特性を踏まえて、得点目標を設定する必要があります。

得点源にしやすい科目

  • 企業経営理論:理論の理解で得点が安定しやすい。マーケティングや組織論は実務経験者なら馴染みやすい
  • 運営管理:生産管理と店舗・販売管理の2分野。後者は日常生活と紐づきやすく得点しやすい
  • 中小企業経営・政策:白書ベースの暗記科目で、直前期の集中学習で点が伸びやすい

計算・理解で差が出る科目

  • 財務・会計:簿記2級レベルの基礎があれば60〜70点を狙える。未経験者は土台作りに100時間以上必要な場合もある
  • 経済学・経済政策:グラフ問題が中心。慣れれば得点源、苦手なら防衛科目に切り替える判断が必要

暗記負荷が高い科目

  • 経営法務:会社法・知的財産権など暗記項目が多く、深追いすると時間を吸われる。50〜60点で割り切る受験生が多い
  • 経営情報システム:IT用語・ネットワーク・データベースなど範囲が広い。IT初心者には防衛科目になりやすい

得点目標のパターン例(合計420点超)

パターン 経済 財務 企業経営 運営 法務 情報 中小 合計
バランス型 60 60 65 65 55 55 60 420
経営強み型 50 55 80 75 50 45 70 425
数字強み型 70 80 60 60 45 50 60 425
暗記強み型 50 50 60 65 65 55 80 425

このように、自分の強みを活かした得点パターンを最初に1〜2案描いてから、学習配分を決めるのが効率的です。

420点を積み上げる3つの戦略パターン

得点設計の型を理解すると、自分の状況に合うパターンが見えてきます。

戦略A:得意科目を「70点超え」に持ち上げる

実務経験で馴染みのある科目(例:マーケ職なら企業経営理論、経理職なら財務・会計)を70〜80点ゾーンまで引き上げる戦略です。1科目で平均より15〜20点稼げれば、他科目の負担が大きく下がります。

ただし得意科目を90点・100点に伸ばす投資効率は悪化します。70点を超えた後は、別の科目に時間を回す方が合計点は伸びやすくなります。

戦略B:全科目「60点前後」で揃える堅実型

特に強い科目がない方や、初学者には「全科目60点を目指す」堅実型が向きます。極端な穴を作らない代わりに、突出した得点源も作らない設計です。

このパターンは、過去問演習の比重を全科目均等に置くため計画が立てやすい反面、どこか1科目でも事故ると420点が遠のくリスクがあります。本番でも安定した得点が出せるよう、模試での再現性確認が重要になります。

戦略C:科目合格制度を活用する2年型

1年で全科目を仕上げきれないと判断した場合、科目合格制度を使う2年プランも有効です。1次試験の科目合格制度では、満点の60%以上を取った科目について、合格年度の翌年度と翌々年度の2年間、申請により当該科目の受験を免除できます。

例えば1年目に得意4科目で60点超を狙い、2年目に残り3科目+2次対策に絞る、といった配分が可能です。詳しい免除制度のルールは科目免除制度の解説記事を参照してください。

足切り回避を最優先するべき理由

戦略設計の最大のリスクは、得点源で稼げても苦手科目が40点を割って一発不合格になるパターンです。

足切り発生のメカニズム

足切りが起きやすいのは、以下のいずれかのケースです。

  • 苦手科目の学習時間を極端に削った
  • 直前期に得点源科目の仕上げに集中し、苦手科目の最終確認を怠った
  • 当日の難化に動揺して、得意分野以外でケアレスミスを連発した

「40点を割らなければよい」と聞くと簡単に思えますが、年度によって難化する科目は変わるため、安全マージンを取って各科目50点以上を目指すのが現実的な防衛ラインです。

防衛科目の最低投下時間

苦手な防衛科目でも、過去問5年分を1〜2周は回す時間を確保したいところです。経験的に、過去問演習をほぼやらずに本番に臨んだ科目は、40点割れのリスクが高まります。

  • 最低限の過去問演習時間(1科目):30〜50時間
  • 直前期の総復習時間(1科目):10〜15時間
  • 模試での得点確認:本番1〜2か月前に必ず実施

防衛科目こそ、「捨てる」のではなく「50点を死守する」発想で投資する必要があります。

模試の活用で「事故率」を下げる

公開模試や予備校模試は、本番前に得点パターンを検証する貴重な機会です。模試で40点割れが出た科目は、本番でも事故るリスクが高いため、優先的に補強します。逆に模試で安定して55〜60点が出ている科目は、伸ばすより維持に切り替える判断もできます。

学習時期別の得点設計の見直しタイミング

得点設計は一度立てて終わりではなく、学習の進捗に応じて見直すべきものです。

学習開始期(試験まで12か月〜9か月)

最初は仮の得点設計でかまいません。**「得意になりそうな科目」「苦手になりそうな科目」**を仮置きし、学習配分の初期計画に反映します。実際にテキストを1周してみると、得意・苦手の感触が変わることが多いため、固定しすぎない柔軟さが大切です。

演習期(試験まで8か月〜4か月)

過去問演習に入ったら、初見の過去問得点を科目ごとに記録します。得点パターンが見えてきたら、計画を1度目の見直しを実施。当初の想定と異なる場合は、得点目標と学習配分を組み直します。

直前期(試験まで3か月〜試験当日)

直前期は、防衛科目の足切り回避を最優先します。得点源科目を80点から90点に伸ばす学習より、防衛科目を45点から55点に引き上げる学習の方が合計点に効きます。模試結果で40点台が出た科目には、残り時間の30〜40%を投下する判断もあり得ます。

試験当日の時間配分

当日の試験中も、戦略的判断が問われます。

  • 解ける問題から確実に処理する
  • 計算問題で詰まったら一旦飛ばす
  • マークミス防止のため、最後の5分は見直しに使う
  • 難問に時間を吸われて取れる問題を落とすのが最大の損失

よくある質問(FAQ)

Q. 1次試験の合格率と難易度はどのくらいですか?

近年の1次試験合格率は、令和5年度29.6%・令和6年度27.5%・令和7年度23.7%と推移しています。年度により10ポイント近く変動することもあり、難化した年でも「420点を取る人は取る」試験です。難易度の比較は難易度比較記事で詳しく扱っています。

Q. 「全科目60点」と「強み科目で稼ぐ」のどちらが安全ですか?

統計的にどちらが安全とは言い切れません。実務経験や得意分野が明確な方は強み型、初学者で偏りのない方はバランス型が向きます。自分の現状で再現性が高い設計を選ぶのが結果的に合格に近づきます。

Q. 科目合格を取った後、翌年に再受験することはできますか?

科目合格制度では、合格年度の翌年度と翌々年度の2年間、申請により当該科目の受験を免除できます。免除を使うか再受験するかは、自分の点数を伸ばせる見込みと合格戦略によります。詳しくは科目免除制度の記事を参照してください。

Q. 模試で総得点350点しか取れていません。本番までに間に合いますか?

模試と本番には1〜3か月のタイムラグがあるため、残り期間と学習投下時間によっては十分に挽回可能です。350点→420点に上げるには、伸びしろのある2〜3科目で各10〜20点を稼ぐ設計が現実的です。足切り科目がある場合は、まずそちらを優先します。

Q. 受験日当日に1科目だけ難化した場合、どう対応すればよいですか?

難化を感じても、まず最後まで解き切ることが前提です。得点調整が入る可能性もあるため、自己採点で40点を割っても合格発表まで諦めない受験生もいます。難化した科目に必要以上に動揺せず、他科目で平常運転を維持する方が結果につながりやすくなります。

Q. 1次合格後、2次試験までのスケジュールはどうなりますか?

1次試験は例年8月上旬、2次試験は10月下旬実施で、間は約2.5か月です。1次合格者は1次合格年度を含めて翌年度までの2回、2次試験を受験できます。令和8年度試験からは口述試験が廃止される予定で、2次筆記試験合格が最終合格となります。詳しくは令和8年度試験の変更点記事を参照してください。

まとめ

中小企業診断士1次試験の合格戦略を整理します。

  • 合格基準は「総得点60%以上」かつ「全科目40%以上」の2条件
  • 全科目均等80点は非現実的。得点源と防衛科目を分ける設計が合理的
  • 自分の強みに合わせて得点パターン(経営強み型・数字強み型・暗記強み型など)を選ぶ
  • 苦手科目は「捨てる」のではなく「50点死守」で投資する
  • 直前期は得点源を伸ばすより、防衛科目の底上げを優先する

1次試験は「合格点を取る試験」であって「満点を取る試験」ではありません。420点をどの科目で何点ずつ積むかを最初に設計しておくと、学習の迷いが減り、結果として合格に近づきます。

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出典・参考

  • 一般社団法人 中小企業診断協会/日本中小企業診断士協会連合会 公式統計(令和5・6・7年度試験結果データ、1次試験実施要領)
  • 令和8年度試験実施スケジュール(中小企業診断士協会連合会発表)
2026年6月2日13分で読めます
監修:中小企業診断士 久保谷太志執筆:診断士エアポート 編集部
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