第1問 3点
企業の内部環境分析の1つであるVRIO 分析の考え方に基づく、ある企業の持
つ経営資源の評価に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 業界トップのブランド力を有し、他社がそれを模倣するのは極めて困難である。また、その利用体制も組織的に整備されており、当該ブランドを冠する製品やサービスは顧客の支払意思額を高めている。この場合、そのブランドは企業に対して「持続的な競争優位」をもたらすと評価される。 イ 現時点でそのノウハウの商業的な利用機会は見いだせず、将来においても経済的な価値創出を期待することができない。しかし、長年の試行錯誤や人間関係によって築かれ、組織的な活用体制も整えられており、他社による模倣が事実上困難なノウハウである。この場合、そのノウハウは企業に対して「持続的な競争優位」をもたらすと評価される。 ウ 顧客に提供する価値の源泉となっており、現時点では他社が保有していない希少な技術である。組織的な活用体制も構築されている。しかし、近い将来に、代替手段が低コストで利用可能となる見込みが高い。この場合、その技術は企業に対して「競争劣位」をもたらすと評価される。 エ 製品化に不可欠な原材料であり、それを投入することで顧客ニーズを的確に捉え売上向上に寄与している。しかし、他社も同様の原材料を容易に入手し活用している。この場合、その原材料は企業に対して「一時的な競争優位」をもたらすと評価される。 オ その業界では代表的なサプライヤーから調達可能であり、自社を含む多くの企業が同等の設備を既に導入している。しかし、その設備は当該製品の生産に不可欠であり、組織的な利用体制も整っている。この場合、その設備は企業に対して「競争劣位」をもたらすと評価される。
解答・解説を見る第2問 3点
SWOT 分析では、「強み」や「弱み」といった内部環境要因と「機会」や「脅威」と
いった外部環境要因を組み合わせて、戦略代替案を考えることができる。以下の事
例に基づき、治療院Aが検討している戦略代替案のうち、「弱み」と「機会」に対応す
るものとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
<事例>
治療院Aは、近隣に高齢者が多数居住するマンションがある地域で営業してい
る。従業員は誰とでも気さくに話せるため患者からの受けがよく、院長は鍼灸
師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の資格を有しており、幅広い施術を提供
できる体制にある。一方、治療院Aは仕事が丁寧であることで評判を得ているもの
の、患者1人当たりにかける時間が長く、その結果として待ち時間が長くなりがち
である。こうした状況の中、先月、近隣に低価格を売りにした治療院Bが新たに開
院し、競争環境が変化しつつある。
ア 院長の複数資格を生かし、鍼灸・マッサージ・整復を組み合わせた総合施術メニューを整備する。高齢者層に向けて症状別の提案や説明を強化し、提供内容の幅広さを訴求して利用拡大を図る。 イ 患者1人当たりの施術時間をさらに確保し、これまで以上に患者に寄り添った接遇を行うことでサービス品質を高める。料金よりも対応や施術内容を評価する既存の高齢患者の満足度向上に注力する。 ウ 競合の低価格戦略に合わせて料金を引き下げ、来院数の増加によって売上の確保を狙う。そのために施術時間を短縮して回転率を上げ、低価格でも利益が出る運営体制へと転換していく。 エ 低価格を打ち出す競合に対して、料金水準を追随して下げるのではなく、質の高い総合的な治療を前面に出して差別化する。料金以外の価値を分かりやすく伝えることで選ばれる理由をつくる。 オ 待ち時間に起因する不満や離反を抑えるために、電話予約や時間帯予約を導入して来院の集中を平準化する。あわせて高齢者が利用しやすい時間枠や案内方法を整備し、来院のハードルを下げて利用拡大につなげる。
解答・解説を見る第3問 3点
シナジーに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 経営シナジーとは、企業にとって未知で新規の事業領域に進出した場合に発揮される、経営陣の起業家精神による正の効果のことである。 イ 財務シナジーとは、多角化によって企業価値が低下してしまう負の効果のことである。 ウ 事業間のシナジーを追求すると全社的な全体最適を優先することになり、結果的に事業ごとの部分最適を損なうことがある。 エ シナジーによるコスト低減効果は、販売ではなく生産・操業において発生する。 オ シナジーの機会費用とは、資源の共用が活動間の調整を伴う場合に発生する時間と労力のことを指している。
解答・解説を見る第4問 3点
以下の表は、事業Xについて、そこに参入している企業の現在の市場シェアや年平均成長率などの状況を示している。この表に基づいた、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の考え方に沿った記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、PPMの作図に当たっては、相対市場シェアの基準を1.0、市場成長率の基準を10%とする。
市場全体の事業Xの年平均市場成長率:15%
企業|現在の各社の事業Xの市場シェア|各社の事業Xの年平均成長率|現在の各社の事業Xの売り上げ規模|現在の各社の全社売り上げ規模
A社|50%|約18%|50億円|200億円
B社|30%|約6%|30億円|300億円
C社|15%|約30%|15億円|100億円
D社|5%|約15%|5億円|100億円
ア A社にとって事業Xは現在「花形」なので、これ以上の事業投資を必要としない。 イ B社とC社にとって事業Xは現在「問題児」なので、投資を行っていくべきか、売却するべきかの見極めが必要である。 ウ B社にとって事業Xは現在「金のなる木」なので、追加の事業投資を控え、収益性を最大化することが望ましい。 エ C社にとって事業Xは現在「花形」であり、将来の「金のなる木」になる可能性が高い。 オ D社にとって事業Xは現在「負け犬」なので、早急に撤退する必要がある。
解答・解説を見る第5問 2点
M. ポーターが提唱した「価値連鎖」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 価値連鎖には複数の活動が含まれ、それらの活動は独立してマージンの創出に貢献している。 イ 価値連鎖に含まれる活動間で範囲の経済が生み出されるので、企業は価値連鎖に含まれるすべての活動を自社で行うのが望ましい。 ウ 価値連鎖に含まれる活動を個別に分析することによって、業界の収益性や競争環境を分析することができる。 エ 価値連鎖は、企業固有の歴史からの影響を受けない。 オ 価値連鎖は、購入ロジスティックス、生産活動、出荷ロジスティックス、マーケティング・販売、アフターサービスといった主要活動のみならず、技術開発、人的資源管理、調達、企業のインフラストラクチャ整備といった支援活動からも構成される。
解答・解説を見る第6問 2点
競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 競争戦略の実行に不可欠な独自の経営資源をもち、かつ製品市場において規模の経済性を実現できていれば、代替製品の出現は事業の収益性に影響を与えない。 イ 経験効果による習熟度は業界の特性にかかわらず一定であるので、他社の累積生産量の増加に伴う単位当たりの費用の変化を推測することは可能である。 ウ 経験効果を利用したコストリーダーシップを追求する場合、競合企業よりも多くの累積生産量を継続的に達成することが有効である。 エ 集中化戦略を追求するならば、スタック・イン・ザ・ミドルとならないよう、コスト優位と差別化優位をあきらめなければならない。 オ 範囲の経済は、多角化を進めるときに発生することから、コスト優位に影響を与えない。
解答・解説を見る第7問 3点
ビジネスモデルとは、「企業がどのような事業をしているか」、あるいは「どのよ
うな事業活動を構想するか」といった事業構造の設計モデルのことである。ビジネ
スモデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 「SPA(製造小売業)」型のビジネスモデルは、商品の販売動向や顧客ニーズを店舗などの現場から直接把握し、迅速に生産計画に反映できる。 イ 「サブスクリプション」型のビジネスモデルは、顧客が契約を解約することができないため、既存顧客を維持することによって安定した収益を確保することができる。 ウ 「消耗品モデル(レーザーブレード)」型のビジネスモデルは、消耗品に他社製品との互換性を持たせることで、ユーザーの購買意欲を喚起し、顧客ロイヤルティを高める。 エ 「媒介型プラットフォーム(マルチサイドプラットフォーム)」型のビジネスモデルでは、2種類以上の性質の異なるユーザーそれぞれから等しく収益を上げることがビジネスの持続に必要である。 オ 「ロングテール」型のビジネスモデルは、少数の主要な製品に絞って展開し、長期間売り続けることで収益を高める。
解答・解説を見る第8問 2点
W. チャン・キムとR. モボルニュが提唱したブルー・オーシャン戦略の考え方に
関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ブルー・オーシャン戦略では、業界で当然とされている要素を「取り除く」、その要素を業界標準よりも大胆に「増やす」、「減らす」、あるいは、業界内にはなかった要素を新たに「付け加える」という4つのアクションを通じて、低コストと差別化の同時実現を図る。 イ ブルー・オーシャン戦略の中核となる「バリュー・イノベーション」とは、差別化を徹底して付加価値を高め、価格プレミアムでコスト増を吸収することで高収益を実現する考え方である。 ウ ブルー・オーシャン戦略は、技術的なイノベーションによってのみ達成されるものであり、製品の機能的価値を飛躍的に向上させるための先行的な研究開発投資が不可欠である。 エ ブルー・オーシャン戦略は、競争を避けるために、既存市場の顧客ニーズを細分化し、大手が参入できない隙間部分に特化することで、局地的な独占状態を目指すものである。 オ ブルー・オーシャン戦略は、市場における過当競争を解消するために、競合他社の買収や戦略的提携を積極的に行い、業界を再編して市場の支配力を高めるものである。
解答・解説を見る第9問 2点
W. アバナシーとJ. アッターバックの「生産性のジレンマモデル(A-Uモデル)」に
関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 「生産性のジレンマ」とは、ドミナントデザインの成立と生産性の向上との間のトレードオフのことである。 イ 産業が成熟するほど、製品イノベーションと工程イノベーションが同時に増加する。 ウ 産業の初期は製品イノベーションが支配的で、ドミナントデザインの登場を機に工程イノベーションが中心になっていく。 エ ドミナントデザインとは技術的に最も優れた設計のことである。 オ ドミナントデザインは、市場や生産ではなく、技術的な選択圧によって登場する。
解答・解説を見る第10問 3点
C. クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」では、業界のリーダー企業は
破壊的イノベーションへ有効に対応できないと指摘されている。その理由として、
最も適切なものはどれか。
ア 過去の成功体験にとらわれ、現在の主要顧客の声を無視してしまうから。 イ 企業の資源配分メカニズムによって、高い利益率が見込める事業に優秀な人材や資金が優先的に流れる仕組みになっているから。 ウ 既存の主要な顧客基盤や優秀な技術スタッフに頼らずに、既存の組織ではなく新しい小さな組織で対応してしまうから。 エ 競争優位性のある既存のバリューネットワークを捨て、新しいバリューネットワークを展開しようとするから。 オ 破壊的イノベーションへの投資は、収益性は高く市場規模は大きいが新規性が極めて高いため、リスク回避的な企業文化によって経営会議で否決されてしまうから。
解答・解説を見る第11問 3点
P. ゲマワットが提唱した「AAA トライアングル」は、国や地域間の差異に直面し
た企業が、グローバル戦略を設計する際の基本的な方向性を示すものである。国ご
との差異に順応する「適応(Adaptation)」、国境を越えた標準化によって差異を克
服する「集約(Aggregation)」、各国の差異を活用する「裁定(Arbitrage)」の3つか
ら構成される。このうち、「裁定(Arbitrage)」に分類される企業の戦略的行動とし
て、最も適切なものはどれか。
ア あるアパレルメーカーが、縫製は人件費の安い国、デザインは流行の発信地、コールセンターは語学力の高い国というように、国ごとに機能を分散配置した。 イ ある化学メーカーが、多角化していた事業ポートフォリオを見直し、国際市場で競争力のない不採算事業から撤退して、得意とする高機能素材分野へ経営資源を集中させた。 ウ ある食品メーカーが、進出先の国の食文化や宗教的なタブーに配慮し、現地市場の原材料のみを使用した製品を新たに開発した。 エ ある電機メーカーが、進出先の国での急速なシェア拡大を目指し、現地の有力な販売網を持つ企業と戦略的提携を結んだ。 オ ある日用品メーカーが、世界中で部品の共通化を進め、特定国での集中生産を行うことで規模の経済を働かせ、グローバルなコストリーダーシップを確立した。
解答・解説を見る第12問 2点
倫理に配慮した企業活動に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 2000 年に国連によって提唱されたミレニアム開発目標(Millenium Development Goals)では、発展途上国のみならず先進国もターゲットにし、政府やNGO、NPO、民間企業が一丸となって市場の限界に取り組むことが主張された。 イ 3Rとは、設計段階から廃棄物を出さないように製品やサービスをデザインすることであり、企業はそのような活動に取り組むことで、新しい商品やサービスが生まれるチャンスを得ることができる。 ウ 人権デュー・ディリジェンスとは、サプライチェーンの中に人権への悪影響を及ぼす要因がないかを確認し、ある場合はそれに対応し、その結果を評価・公表するというプロセスを、継続的に行うことである。 エ トリプルボトムラインとは、企業が「経済」、「倫理」、「社会」の3つの軸を追求することによって、企業の長期的持続可能性が高まるという考え方である。 オ フェアトレードは、市場の価格の変動に応じて価格を設定することで、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立に貢献する。
解答・解説を見る第13問 2点
スリーサークルモデルは、ファミリービジネスのシステムを、互いに重なり合う部分を持つ「オーナーシップ(所有)」「ビジネス(事業)」「ファミリー(家族)」の3つのサブシステムで表す(下図参照)。以下の文章を読み、問いに答えよ。
ファミリービジネスである株式会社X社は、創業者A氏によって設立された。創業者A氏は同社の代表取締役社長としてX社の50%の株式を保有しており、家族の中で唯一X社の株式保有者であった。やがて創業者A氏の高齢化に伴い、創業者A氏の子であるB氏がX社の専務取締役として入社した。
その後しばらくしてB氏は創業者A氏から事業承継し、X社の代表取締役社長となり、かつ創業者A氏からX社の株式の20%を譲渡された。創業者A氏は代表取締役会長となった。
しかしその後、市場の変化に対応するための経営方針について、創業者A氏と、社長としてかじ取りをしていた後継者B氏との間に意見の相違が発生し、株主総会で創業者A氏と後継者B氏が真っ向から対立する事態となった。結果、X社の15%の株式をもつ機関投資家Y社からの支持を得た後継者B氏の経営方針が採用された。これを受けて、創業者A氏は保有する全株式を市場で売却し、その後X社の代表取締役会長を退任し退社した。
その後、後継者B氏は組織改革を進めたが、経営状態はさらに悪化した。これをみた機関投資家Y社は持ち株全てを株式会社Z社に売却した。これを受けて、後継者B氏は株式を保有したままX社の代表取締役社長を退任し退社した。その後、X社の社員が同社の新社長に就任した。
以下の表は、X社における創業者A氏と後継者B氏のスリーサークル上のポジション(図のa~g)の変化を示している。表の中の空欄①~④に当てはまるスリーサークル上のポジションの組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
時点|創業者A氏のポジション|後継者B氏のポジション
後継者B氏の入社から事業承継までの間|a|③
事業承継時|①|a
創業者A氏の退任・退社時|②|a
後継者B氏の退任・退社後|g|④
ア ①:a ②:d ③:f ④:b イ ①:a ②:g ③:d ④:b ウ ①:a ②:g ③:d ④:g エ ①:b ②:b ③:d ④:g オ ①:b ②:c ③:f ④:g
解答・解説を見る第14問 2点
階層と統制の範囲(span of control)に関する記述として、最も適切なものはどれ
か。なお、本問では、組織規模(人数)が一定である場合を前提とする。
ア 管理者の統制の範囲を広げやすくする要因として、管理者の管理能力の向上、組織メンバーのスキルの向上、作業手順の標準化などがある。 イ 管理者の統制の範囲を広げるためには、組織メンバーの裁量を抑え、意思決定を上位に集中することが有効である。 ウ 作業手順の標準化が進んでいる場合、統制の範囲を広げやすくなり、その結果、階層数は増加する。 エ 組織メンバーのスキルが高くタスクが単純な場合、統制の範囲を狭く設定すれば、必要な管理者数を削減でき、階層数も減少する。 オ タスクが複雑で例外対応が多い場合ほど、管理者が多様な状況を把握する必要があるため、統制の範囲を広く設定することが望ましい。
解答・解説を見る第15問 3点
E. シャインの組織文化論に基づく、組織文化の変革に関する記述として、最も
適切なものはどれか。
ア 新たな信念・価値観・行動を学習する方法には、組織メンバー自らが環境をスキャニングして試行錯誤から学ぶ方法に加え、ロールモデルを手本として学ぶ方法もある。 イ 新たに形成された組織文化の再凍結(refreezing)は、主として全社的な公式研修によって達成され、組織メンバーに内面化されて定着する。 ウ 組織文化の変革では、心理的安全性を整えることは、現状への危機感を弱めるおそれがあるので、必ずしも優先すべきではない。 エ 組織文化の変革を実現して持続化させるためには、初めに基本的前提を明確化して更新した後、価値観を変更し、最終的に人工物および行動を整合させるという段階的な変革プロセスが有効である。 オ 組織文化は暗黙の了解として形成されるため、組織文化の変革は経営上層部による計画的変革ではなく、現場での創発的変革によって達成される。
解答・解説を見る第16問 3点
H. サイモンによって提唱された意思決定論に関する記述として、最も適切なも
のはどれか。
ア 価値前提とは、意思決定において追求すべき目的や規範に関する前提であるが、その真偽を客観的な手段で検証できない前提は除外される。 イ 事実前提とは、意思決定における手段や因果関係に関する前提であり、「わが社は短期利益よりも顧客信頼を優先する」といった意思決定の評価軸を指す。 ウ 組織における教育・訓練の目的とは、意思決定に必要な思考の枠組みや価値基準を与えることにより、組織メンバーが意思決定前提に頼らずに自律的に意思決定できるようにすることである。 エ 組織における権限には、意思決定に際して上司が伝える意思決定前提を一人ひとりの部下が自ら吟味せずに受容することを促す側面がある。 オ 組織メンバーが組織と一体化することは、組織の価値前提と組織メンバーの目的との乖離を拡大させるように作用する。
解答・解説を見る第17問 2点
E. デシによって提唱された内発的動機づけの理論に関する記述として、最も適
切なものはどれか。
ア 個人が報酬を有能さの情報として自己決定を損なわないかたちで受け取る場合、それが外的報酬であっても内発的動機づけを高めうる。 イ 成果主義のように個人の活動成果に応じて外的報酬を与えることは、優越感に対する個人の欲求を満たすことで内発的動機づけを高める傾向がある。 ウ 内発的動機づけの強さは、「期待」、「道具性」、「誘意性」という3つの独立した変数の積によって説明できる。 エ 内発的に動機づけられた活動に従事する個人に活動成果に応じた金銭を与えた場合、受け手は「遊びではなく金銭のためだ」と活動を正当化することで内発的動機づけをさらに高める傾向がある。 オ 褒め言葉のような無形の言語的報酬によって内発的動機づけが高められる効果を「ウィンザー効果」と呼ぶ。
解答・解説を見る第18問 3点
リーダーシップの条件適合理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア F. フィードラーの理論によると、「最も苦手な仕事仲間(LPC:Least Preferred Coworker)」をリーダーが好意的に評定し、高いLPC 得点となった場合、そのリーダーは人間関係志向型リーダーと捉えられる。 イ V. ヴルームとP. イェットンのリーダー参加型モデルによると、意思決定プロセスにどの程度部下を参加させるべきかどうかは、組織文化に応じて判断すべきである。 ウ 状況対応型リーダーシップ理論(SL 理論)によると、部下の成熟度が高まるにつれて、リーダーはタスク志向の行動を弱めるとともに人間関係志向の行動を一貫して強めるべきである。 エ パス・ゴール理論によると、環境状況と企業の戦略特性という2つの状況変数によって、リーダーのとるべき行動と集団の業績は左右される。
解答・解説を見る第19問 3点
取引コスト理論の観点から見た、製造業における取引コストに関する記述とし
て、最も適切なものはどれか。
ア 取引での資産特殊性が高い場合、生産工程情報の共有と共同改善会議を設けることで機会主義的行動を抑制でき、将来状態を事前に網羅する完備契約が実現できる。 イ 取引での資産特殊性が高く代替的供給者への切り替えが困難な場合、市場における価格メカニズムによって機会主義的行動を抑制できる。 ウ 品質不具合の原因が事後的に特定しにくい場合、違約金条項を設けることで製造責任の範囲を明確化でき、履行確保や監視に要するコストの発生を抑制できる。 エ 品質不具合の原因が事後的に特定しにくく代替供給者への切り替えが容易でない場合、市場取引では責任帰属をめぐる事後交渉や履行確保に要するコストが増大しやすい。 オ 不確実性が高く製品設計の変更が頻繁に生じる場合でも、市場における価格メカニズムによって柔軟な適応が可能であるため、仕様変更に伴う再交渉や調整のコストは増大しにくい。
解答・解説を見る第20問 3点
M. ポーターのクラスター論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア クラスターで活動している企業は、互いに競争を抑制し、同業他社との長期的な協調関係を最優先させている。 イ クラスターでは、域外への知識スピルオーバーを抑制できるので、企業は知識共有を限定し、知識フローの統制によって競争優位を確保する。 ウ クラスターとは、既存大企業に対抗する新興企業群であり、代表的なクラスターとしてシリコンバレーがある。 エ クラスターとは、特定地域内に形成される緩やかな企業ネットワークであり、政府の関与や公的支援を排した自律的な集団活動を通じて競争力を維持する。 オ クラスターにおいては、要求水準が高く洗練された需要の存在は、当該地域に立地する企業の競争優位形成を促進する。
解答・解説を見る第21問 2点
産業における事業者の設立率と退出率について、組織エコロジー論における密度
依存効果(density dependence)に基づく記述として、最も適切なものはどれか。な
お、本問における「密度」とは、当該産業の事業者数を指す。
ア 密度が高まると委託・外注や設備レンタルなどが発達し、設立率と退出率はともに上昇する。他方、密度が一定水準を超えた後も設立・退出の容易化が続くため、両率は高い水準で推移する。 イ 密度が高まると社会的正統性が向上・確立し、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えると需要・販路などをめぐる競争圧が増大し、設立率は低下し退出率は上昇する。 ウ 密度が高まると設立手続(許認可手続)の運用や公的支援が整い、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えると監督強化や支援縮小により、設立率は低下し退出率は上昇する。 エ 密度が高まると同業者間の協働(共同開発・共同販促など)が進み、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えた後も協働が維持されるため、設立率の上昇と退出率の低下が続く。 オ 密度が高まると認証制度などが整い設立要件が厳格化するため、設立率は低下する。他方、密度が一定水準を超えた後も既存事業者は情報共有や支援を得やすく、退出率も低下する。
解答・解説を見る第22問 3点
以下の図は、NTL Institute が提唱している、組織開発の進め方をモデル化した
「OD Map」を表したものである。組織開発の外部専門家という立場で、このモデル
の考え方に基づいてクライアントと組織開発を進める場合、その進め方に関する記
述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
ア 「アクション計画」と「アクション実施」の段階では、変革への現場からの抵抗を排除するため、当事者間で対話の場を設けるよりも、新しい制度やルールをトップダウンで素早く導入することを優先すべきである。 イ 「エントリーと契約」の段階では、双方の役割と責任、アクションの計画と実施の具体的な内容を確定させ、クライアントと明確な合意を形成することが重要である。 ウ 「データ収集」と「データ分析」の段階では、組織の全体像を正しく把握できる立場にいる経営幹部層に対象を絞った実態調査を実施することで、組織の抱える問題の全体像を明らかにすべきである。 エ 「評価」と「終結」の段階では、介入の効果と目的の達成度を検証し、望ましい変化が持続するよう定着化を図ると共に、クライアントが今後は自走できると判断される場合は支援を終結すべきである。 オ 「フィードバック」の段階では、収集したデータの分析結果に基づき、解決すべき課題の優先順位を組織開発の外部専門家が客観的な立場から決定することが重要である。
解答・解説を見る第23問 2点
人材の選抜方法の特性と効果に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 現実的な職務情報の事前開示(RJP)の目的は、仕事の魅力だけではなく厳しい側面も事前に応募者に伝えることで多くの優秀な応募者を獲得することであるが、リアリティショックによる早期離職を増大させる傾向がある。 イ 構造化されていない面接では、面接担当者が自由な会話の流れに従って応募者の個性や能力を柔軟に引き出すため、構造化された面接と比べて、人材を評価する際にバイアスが生じにくい。 ウ 選抜方法における「妥当性」とは、ある選抜方法で同じ対象を同じ条件で繰り返し評価した場合に、一貫して同じ評価結果が得られる度合いを指す。 エ リファラル採用では、組織の既存の従業員が知人や友人を自社の採用候補者として紹介するため、一般の公募と比較して応募者の多様性が高まりやすく、組織の同質化を防ぐ効果がある。 オ ワークサンプルテストとは、現実の職務課題を模した条件下で、実際の職務から抽出された特定の課題を応募者に実演させ、入職時に必要とされる具体的な能力を現時点で保有しているかどうかを見極める選抜手法である。
解答・解説を見る第24問 2点
労働基準法第24 条の賃金の支払に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 1カ月の賃金支払額に100 円未満の端数が生じた場合に、50 円未満を切り捨て、50 円以上を100 円に切り上げて支払うことはできない。 イ 500 万円を超える退職手当を支払う場合には、労働者の同意を得ることなく、一部を自社の株式またはストックオプションを付与する方法によることができる。 ウ 就業規則に「賃金支払日を毎月25 日とする。ただし、25 日が金融機関の休日の場合には翌営業日に繰り下げる。」と定めて、これを運用することはできない。 エ 賃金を労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことはできないが、使者に対して支払うことはできる。
解答・解説を見る第25問 2点
男女雇用機会均等法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 雇用の場で男女労働者間に事実上生じている格差を解消することを目的としたものであっても、女性のみを対象とした取り扱いや女性を優遇する取り扱いをすることは、男女雇用機会均等法に違反する。 イ 事業主に義務付けられている、職場における妊娠、出産などに関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置について、労働者が協力するように努めることまでは規定されていない。 ウ 事業主は、その雇用する女性労働者が母子保健法の規定による保健指導または健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減など必要な措置を講じなければならない。 エ 妊娠中の女性労働者および出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、事業主が妊娠および出産が理由ではないと証明した場合であっても無効となる。
解答・解説を見る第26問 2点
企業などが高齢者の賃金を決定するに当たり、在職しながら受け取る老齢年金の
受給状況を考慮することがある。在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金の受給権者
が在職中である場合に、その者の受けている賃金等の額に応じて老齢厚生年金の全
部または一部の支給が停止される制度である。この在職老齢年金制度に関する記述
として、最も適切なものはどれか。
ア 70 歳に達した後も厚生年金保険の適用事業所に勤務している者は、在職老齢年金制度の対象となり得る。 イ 受けている賃金等の額が月額換算で65 万円を超える受給権者の場合には、老齢厚生年金に加えて老齢基礎年金の一部も支給停止される。 ウ 在職老齢年金の計算をする際に用いる総報酬月額相当額には、企業などから支払われる賃金以外に不動産賃貸による収入があれば、それら全てを算入する。 エ 平均寿命や健康寿命が延びる中、近年は在職老齢年金制度による支給停止となる基準額が引き下げられている。
解答・解説を見る第27問 2点
労働基準法第38 条の2に規定する事業場外労働に関するみなし労働時間制(以
下、本問では「みなし労働時間制」という。)に関する記述として、最も適切なものは
どれか。
ア 事業場において訪問先や帰社時刻など当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場に戻る場合であっても、みなし労働時間制の適用を受ける。 イ 法定休日に全日事業場外で業務に従事し、みなし労働時間制が適用されるとしても、休日労働としての割増賃金の支払いは必要になる。 ウ みなし労働時間制が適用されると、休憩に関する労働基準法上の規定は適用されなくなる。 エ 労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務(テレワーク)において、みなし労働時間制を適用するためには、使用者の指示により、情報通信機器を常時通信可能な状態にしておくことが必要である。
解答・解説を見る第28問 2点
リレーションシップ・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはど
れか。
ア 「20 対80 の法則」に基づけば、上位2割の優良顧客が売上の大部分を占めるという収益構造が多く見られるため、全顧客に一律の経営資源を投下するのではなく、収益性の高い顧客を識別して特別なベネフィットを提供するなど長期的な関係を深化させることは、限られた資源の効率的な配分において有効な手段となる。 イ カスタマー・リレーションシップ・マネジメントを推進する上では、IT を活用した顧客データベースの構築や購買履歴の分析が極めて重要であり、これらの技術的基盤が完備されていれば、接客担当者のスキルのバラつきや組織内の顧客志向の欠如といった人的・組織的要因が、顧客との関係構築の成否に影響を及ぼすことはない。 ウ 顧客生涯価値とは、ある顧客が一生の間にその企業にもたらす価値の合計を意味するが、実務上の算出においては、将来のキャッシュフローの不確実性を考慮し、新規顧客の獲得コストや既存顧客の維持コストを差し引く前の「売上高の総計」を指標として用いるのが一般的である。 エ スイッチング・コストとは、顧客が現在利用しているブランドから競合他社へ乗り換える際に発生する心理的、物理的、金銭的な負担を意味するが、リレーションシップ・マーケティングにおいては、顧客の自由な選択を妨げないよう、このスイッチング・コストを可能な限り低減させて離反の障壁をなくすことが必要である。 オ リレーションシップ・マーケティングは、個々の取引から得られる短期的な利益の最大化を重視するトランザクション・マーケティングの考え方をさらに徹底したものであり、顧客との接触頻度を増やすことで、1回当たりの取引における販売価格を可能な限り引き上げ、当期の営業利益を最大化することを主な目的としている。
解答・解説を見る第29問 2点
デジタル・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア SNS マーケティングにおいては、まずフォロワー数を増やすこと自体を最優先のKPI に据えるべきである。フォロワー数が一定の規模に達するまでは、自社Web サイトへの誘導経路の設計やコンバージョン率の分析といった運用は後回しにすることが、SNS マーケティングの効率化の観点から望ましい。 イ Web サイトのアクセス解析において、一般的に普及している解析ツールから得られる数値データは、月間セッション数が数百万件に達しない限り統計的な信頼性に欠ける。したがって、アクセス数の少ない中小企業のサイト運営においては、データに基づいたPDCA を回すよりも、経営者の経験則と直感を優先してサイト構成を決定する方が望ましい。 ウ 個人情報保護法をはじめとするデータプライバシーに関する法的規制は、主に大規模なプラットフォーマーや大企業を対象としたものである。そのため、顧客データを多く持たない中小企業が自社サイトでクッキーを利用してアクセス解析を行う際には、プライバシーポリシーの掲示やユーザーへの通知は免除されている。 エ 中小企業のデジタル活用において、実店舗への来店を促す際には、検索エンジンが提供する地図情報上の店舗情報を充実させることが有効である場合が多い。これは、特定の地域でサービスを探している購買意欲の高い層に対し、低コストで直接的なアプローチが可能なため、優先順位の高い施策となり得る。 オ マーケティング・オートメーションは、膨大な顧客リストと高度なプログラミング知識、および多額の導入費用を必要とするシステムであるため、大企業に特化したツールであり、経営資源の限られた中小企業が導入することは費用対効果の面で困難である。
解答・解説を見る第30問 2点
生産財マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 生産財市場においては、供給業者間の差別化が困難である。したがって、継続的な取引を維持し、リレーションシップ・マーケティングを推進するためには、競合他社よりも低い価格を提示し続ける戦略がとりわけ重要になる。 イ 生産財の購買意思決定プロセスには、購買部門だけでなく、当該生産財を使用する製造現場や品質管理部門、経営層が関与する場合がある。そのため、購買動機は個人的な感情や嗜好よりも、品質、納期、経済性、アフターサービス体制などの合理的かつ客観的な基準が優先されることが多い。 ウ 生産財の需要は、当該生産財を用いて製造される最終消費財の派生需要としての性質を持つ。そのため、最終消費財の市場動向に左右されるものの、需要の変化率は一般に消費財市場のそれよりも小さくなる傾向がある。 エ 生産財のプロモーション戦略においては、生産財の技術的専門性が高いため、広範な潜在顧客に効率よくアプローチする観点から、テレビ広告や新聞広告などのマス・プロモーションに最も多くの経営資源を投入し、人的販売は契約締結時に限定することが望ましい。 オ 生産財は、消費財と比較して購買頻度が高く、1回当たりの購買金額が少額である。そのため、広範な市場を網羅し、販売コストを抑えつつ市場カバー率を高めるためには、卸売業者や小売業者を多段階に介在させた複雑な流通チャネルを構築することが一般的である。
解答・解説を見る第31問 2点
ブランドの要素や機能に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 中小企業が自社のブランド要素を決定する際、ネームやロゴの「愛着のわきやすさ」や「記憶しやすさ」は重要な指標となるが、商標登録などの法的保護可能性については、大手企業との競合が顕在化しない限り、初期段階で考慮する必要性は低い。 イ ブランドネームにおいて、製品の具体的属性や機能を直接的に示す名称を採用することは、消費者の学習コストを下げ、ブランドの核となるベネフィットを明確化できる。このため、将来的に当該ブランドを異なるカテゴリーの製品群へ拡張する際、ブランド・ロイヤルティの移転を促進する効果が高い。 ウ ブランドの機能のうち、消費者側におけるものとして「知覚リスクの低減」がある。これは消費者が製品を購入する際に、ブランドを品質の保証書として捉えることで、失敗したくないという心理的・金銭的な不安を和らげる効果を意味する。 エ ブランド要素のうち、ジングルや音楽などの音響要素は、視覚的な記憶を補完するための手段である。そのため、視覚情報の伝達が主となるインターネット上の動画広告やSNS を用いたマーケティングにおいては、ブランド・アイデンティティを構築する上での有効性は低い。 オ ブランド要素の選択基準の1つである移転可能性とは、時間の経過や消費者ニーズの変化に合わせて、ネームやロゴのデザインを柔軟に変更できる度合いを意味する。
解答・解説を見る第32問 3点
ブランド・マネジメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア カスタマー・ジャーニーの設計において、顧客がブランドに接触するタッチポイント(接触点)を分析する際には、購買の瞬間に最も重点を置くべきである。購買に至る前の情報収集段階や、購買後の使用段階、情報共有段階における顧客体験は、製品自体の物理的な機能によって決定されるため、ブランド・マネジメントの管理対象からは除外される。 イ ブランド・アイデンティティとは、企業側が顧客に抱いてほしいと意図するブランドの意味や連想を指す概念である。一方、ブランド・イメージは顧客の心の中に実際に形成された主観的な認識であり、ブランド・コミュニケーションの主な目的は、この両者のギャップを最小化することである。 ウ ブランド・アンブレラ戦略は、単一のブランド名を複数の製品カテゴリーに展開する手法であり、広告宣伝費を抑制できるメリットがある。このため、経営資源の限られた中小企業においては、製品の性質や品質の差異にかかわらず、すべての新製品を既存の成功したブランド傘下で発売することが、ブランド・リスクを最小化する戦略である。 エ ブランドの維持管理におけるリブランディングは、既存のブランド認知が著しく低下し、売上が低迷した際にのみ検討されるべき事後的な救済策である。市場環境が良好でブランドが順調に成長している過程において、ブランド要素の再定義やスローガンの刷新は既存顧客のロイヤルティを損なうため、戦略的な合理性は認められない。
解答・解説を見る第33問 3点
消費者行動に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 消費者の学習における古典的条件付けは、製品そのものの機能(無条件刺激)と、ブランドロゴなどの特定の記号(条件刺激)を繰り返し提示することで、ブランドロゴを見るだけで製品の機能的恩恵を想起させる手法である。この手法は、高度な認知的判断を伴わない低関与製品においては効果が低いとされる。 イ 消費者の記憶において、一度学習した情報が時間の経過とともに忘れ去られる現象を忘却と呼ぶ。企業のブランド構築においては、忘却されやすいエピソード記憶よりも、意味記憶の定着を優先することが、顧客との情緒的な絆を形成する上で効果的である。 ウ 製品に対する消費者のこだわりや関心の強さを指す関与度が高い場合、消費者は広告のタレントや映像の雰囲気といった周辺的な情報を手がかりに意思決定を行う、精緻化見込みモデルでいわれる「周辺経路を通じた情報処理」を行う傾向が強い。 エ 知覚のプロセスにおける選択的注意とは、消費者が自分にとって重要な情報や、自分の信念に合致する情報のみを優先的に取り込む傾向を意味する。企業が競合他社と異なる独自性を訴求する際、消費者の既存の知識体系から大きく逸脱した情報は、注意を引くどころか無視されるリスクをはらんでいる。 オ 流暢性とは、情報処理のしやすさから生じる主観的な感覚を意味する。一般に、複雑で難解な専門用語を用いた製品説明は、消費者にとって「処理が困難である」という感覚を生じさせるため流暢性が低いが、これは情報の希少性や専門性の高さとしてポジティブに評価され、購買意欲の向上に直接的に寄与する。
解答・解説を見る第34問 2点
広告規制・広告表現に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア インフルエンサーなどの第三者にSNS 上での商品PR を依頼する際、広告主が投稿内容を決定し、報酬を支払っている場合であっても、投稿者自身の言葉で感想が述べられていれば、それが広告であることを明示しなくても、景品表示法の規制対象にはならない。 イ 恐怖訴求は、製品を使用しないことによる不利益や危険性を強調することで消費者の行動を促す手法である。この手法は、消費者の不安をあおるほど行動変容の効果が高まるため、企業が新規顧客の不安を払拭し、長期的なブランド・ロイヤルティを構築する上で、最も安定した効果を発揮する。 ウ 広告表現において「売上No. 1」や「業界最高」といった最上級表現を用いる場合、その根拠となる客観的な調査結果が存在していれば、調査の実施時期や調査対象の範囲を広告内に明示する必要はなく、視覚的なインパクトを優先したデザインを構築することが推奨される。 エ 日本における比較広告は、景品表示法によって禁止されている。そのため、自社製品の優位性を客観的な数値データで示す場合であっても、競合他社の具体的な製品名やブランド名を挙げて比較を行うことは、不当表示として法的処分の対象となる。 オ 物語広告は、製品の機能や仕様を論理的に説明する代わりに、物語を通じて消費者の感情に訴えかける手法である。この手法においては、消費者がその世界観に没入することで、広告内容に対する心理的な抵抗感や反論が抑制され、ブランドへの共感が高まりやすい。
解答・解説を見る第35問 3点
PR(パブリック・リレーションズ)およびパブリシティに関する記述として、最
も適切なものはどれか。
ア PR において、プレスリリースの配信はメディア関係者に情報を届けるための手段である。近年は配信後にSNS などから寄せられる反応を分析したり、消費者と対話を行ったりする活動も重要である。 イ PR における「パブリック」とは、製品のターゲット顧客を限定して指す概念である。したがって、従業員やその家族、地域住民、行政機関、株主といったステークホルダーとの関係構築は、PR の概念には含まれず、別途経営管理の領域として扱われる。 ウ PR の主な目的は、広告と同様に、媒体の広告枠を購入して自社製品の特長を直接的に訴求し、短期的な売上を最大化することである。そのため、メッセージの内容や発信のタイミングを自社で完全にコントロールできる点が、PR における最大の利点とされる。 エ PR の手段の1つであるペイド・パブリシティは、第三者であるメディアの視点を通じて情報が報じられるため、消費者にとっての客観性や信頼性が通常のパブリシティよりも高くなる傾向がある。
解答・解説を見る第36問 2点
ソーシャル・マーケティングおよびソサイエタル・マーケティングに関する記述
として、最も適切なものはどれか。
ア M. ポーターが提唱したCSV という概念は、競争優位の確立には株主価値の向上がとりわけ重要であることを意味している。 イ P. コトラーが提唱したソーシャル・マーケティングは、マーケティング概念を拡張し、その諸技法を営利企業だけではなく、教会、病院、大学、政府などの非営利組織にも適用するという考えに基づいている。 ウ 「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の三方よしの精神は、寄付などの社会貢献をする際にも営利優先の前提があったため、ソサイエタル・マーケティングの発想とは大きく異なるものと言える。 エ アメリカのあるクレジットカード会社による自由の女神修復キャンペーンのように、売上の一部を社会的大義のもとで寄付を行うプロモーション活動は、コーズリレーテッド・マーケティングと呼ばれている。これは、企業利益よりも社会的利益と顧客満足を優先している点で、ソサイエタル・マーケティングの手法と言える。 オ ソサイエタル・マーケティングの潮流は、1962 年のケネディ大統領の一般教書演説の中の消費者の4つの権利によって生まれた。それらは、安全が確保される権利、選択する権利、知らされる権利、被害の救済を受けられる権利であり、日本にも導入され、消費者基本法にも定められている。
解答・解説を見る第37問 3点
マーケティング・リサーチに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア マーケティング・リサーチに当たっては、基本的に一次データの収集を検討するべきであり、二次データの採用は避けるべきである。なぜなら、二次データの入手には費用がかかるからである。 イ マーケティング・リサーチにおける定性調査は、入手可能なサンプルのサイズが小さい場合や予算と時間が限られている場合に限られ、あくまでも定量調査に先立って行うべき手段と言える。したがって、科学的根拠に基づいた意思決定を行うためには、誤差の少ない定量調査で行うのが理想的である。 ウ マーケティング・リサーチの方法の1つに心理学で開発された参与観察というものがある。これは、参加者を観察することによって仮説をテストするためのデータを集める方法である。 エ リッカート尺度で測定された製品の顧客満足度と顧客の性別とのクロス集計を用いて、両者の関連性の有無を確認するためには、カイ二乗検定を用いることができる。
解答・解説を見る第38問 2点
サービス・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 居酒屋のハッピーアワーのように時間帯によって低価格をアピールする戦術は、一般的に薄利多売による原材料の仕入れ原価の低減に主要な狙いがある。サービスは基本的に貯蔵できないが、原材料は貯蔵可能であるため、このような対応によってサービス生産性の向上を図ることができる。 イ サービス・ドミナント・ロジックとは、サービスを中心とした品質の評価基準に関する論理である。その評価基準は、SERVQUAL と呼ばれる信頼性、反応性、確実性、共感性、有形性の5つの尺度で構成される。 ウ サービス・プロフィット・チェーンのフレームワークにおいては、サービス品質が、顧客満足、社会的利益、企業利益につながるという連鎖を管理の対象としている。 エ サービス・マーケティングの7P のうちのParticipants(またはPeople)では、従業員の管理だけではなく、サービス生産に参加する顧客の管理もその対象となる。したがって、繁忙期のテーマパークにおける入場者数の制限などは、その一例と言える。 オ サービス・マーケティングの7P のうちのProcess は、バックヤードにおけるサービス生産の効率性管理を意味している。これは、製造業に比べてサービス業の生産性の向上が難しいことを踏まえたものである。
解答・解説を見る第39問 2点
ある食品メーカーが、高齢者を主なターゲットとした減塩調味料の発売を計画し
ている。ターゲット顧客には、以下の3つの特徴があると同社は想定している。
① 販売エリアでは、味噌や醤油などに濃い味のものが多く、長年の食習慣とし
て塩味の強いものを好む傾向がある。
② 家族からは健康のために減塩食品を勧められることが多い。
③ 年金生活者が多く、価格に敏感である。
以上を踏まえ、消費者行動への影響要因に関する記述として、最も適切なものは
どれか。
ア 3つの特徴から、ターゲット顧客に対しては排他的流通チャネル政策が望ましい。 イ 3つの特徴から、ターゲット顧客に対するプロモーション戦略を提案することはできない。 ウ 家族の勧めは、準拠集団の影響に含まれる。 エ 食習慣は、個人によって異なるため、文化的要因の影響は受けない。 オ 年金生活者であることは、デモグラフィック要因とは無関係である。
解答・解説を見る第40問 3点
人的販売に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 自社が販売するサービスを従業員に実際に体験してもらったうえで接客に当たらせるために従業員に一定の割引価格で自社サービスを販売することを、インターナル・マーケティングと呼ぶ。 イ 人的販売には、見込み顧客の掘り起こしと評価に始まり、アプローチやプレゼンテーション、さらには、クロージングやフォローアップなどの段階がある。フット・イン・ザ・ドア・テクニックは、人的販売との相性が良く、特にアプローチ段階の初期において有効と考えられる。 ウ 生産財は企業間取引であるため、たとえそれが標準化した機械部品であっても販売活動の中心は人的販売に頼ることが多く、インターネット販売の役割は少ない。 エ マーケティングと販売は、異なる概念である。そのため、販売員の活動である人的販売をマーケティング・ミックスの4Pの1つであるPromotion に含めることはできない。 オ マーケティングのプッシュ戦略では、最終消費者や流通業者に対して積極的に製品を売り込む。例えば、最終消費者に対しては頻繁な広告が、流通業者に対しては営業担当者による値引き提案が、それぞれ行われることが多い。その結果、需要が増大することによって規模の経済性が発揮され、企業収益が高まると期待される。
解答・解説を見る第41問 2点
流通チャネルに関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群
から選べ。
a オムニチャネルは、別名、デュアルチャネルとも呼ばれているが、これは、製
造業者が卸売業者と直販の両方のチャネルを使って消費者に製品を供給する戦略
を意味している。
b 開放的流通チャネル政策のメリットは、市場カバレッジを高めることで、生産
規模の経済性を享受できることである。反対に、デメリットは、小売業者間の価
格競争が進む可能性が高いことである。
c 生産者と小売業者の間に卸売業者が介在することは、小売業者へのきめ細かい
サービスという点では評価できるが、それをマクロ的に捉えるとむしろ社会的流
通費用を増大させ、消費者の負担を増やすことになる。
d 農産物や水産物を産地から消費地に輸送する場合、倉庫業の保管サービスの主
要な目的は、それらの産物を効率的に輸送する際の結節点において、品質を劣化
させることなく保管することと需給を調整することである。
ア aとb イ aとc ウ aとd エ bとd
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